# YAMAHA RTX840 L2TP/IPsec VPN 複数接続設定マニュアル 作成日:2026年10月21日 対象機種:YAMAHA RTX840 確認済みファームウェア:Rev.23.02.02 動作確認:Windows PCおよびスマートフォンを含む3台同時接続成功 --- ## 1. 目的 RTX840のL2TP/IPsec VPNにおいて、複数のクライアントが同時に接続できる環境を構築する。 既存の設定では、VPN接続用トンネルが1本しか割り当てられておらず、先に接続した端末がトンネルを使用している間、別の端末が接続できなかった。 L2TP用トンネルを追加し、匿名PPに複数トンネルを割り当てることで解決する。 ## 2. 設定構成 | トンネル番号 | 用途 | IPsec設定番号 | |---|---|---| | tunnel 1 | OCN MAP-E | — | | tunnel 2 | L2TP/IPsec(既存) | 1 | | tunnel 3 | L2TP/IPsec(追加) | 2 | | tunnel 4 | L2TP/IPsec(追加) | 3 | 本マニュアルでは、既存のトンネル2が正常に動作している状態から開始する。 **注意事項** - トンネル1のMAP-E設定は変更しない。 - VPNの事前共有キーは既存トンネルと同じ値を使用する。 - 匿名PPの割り当て変更により既存VPNが切断される可能性があるため、現地LANなど別の管理経路を確保する。 - 作業前に現在のCONFIGをバックアップする。 - IPsec設定番号は既存のものと重複させない。 ## 3. トンネル3の作成 RTX840の管理者CLIにて、以下を順番に実行する。 ```text tunnel select 3 tunnel encapsulation l2tp ipsec tunnel 2 ipsec sa policy 2 2 esp aes-cbc sha-hmac ipsec ike keepalive use 2 off ipsec ike nat-traversal 2 on ipsec ike remote address 2 any l2tp tunnel disconnect time off ip tunnel tcp mss limit auto tunnel enable 3 ``` ### 事前共有キー設定 ```text tunnel select 3 ipsec ike pre-shared-key 2 text <既存VPNの事前共有キー> ``` `<既存VPNの事前共有キー>` は実際の文字列に置き換える。山括弧は入力しない。 ### IPsecトランスポート設定 ```text ipsec transport 3 2 udp 1701 ``` これでトンネル3の基本設定が完了する。 ## 4. トンネル4の作成 続いて3台目の接続を受け入れるトンネル4を作成する。 ```text tunnel select 4 tunnel encapsulation l2tp ipsec tunnel 3 ipsec sa policy 3 3 esp aes-cbc sha-hmac ipsec ike keepalive use 3 off ipsec ike nat-traversal 3 on ipsec ike remote address 3 any l2tp tunnel disconnect time off ip tunnel tcp mss limit auto tunnel enable 4 ``` ### 事前共有キー設定 ```text tunnel select 4 ipsec ike pre-shared-key 3 text <既存VPNの事前共有キー> ``` ### IPsecトランスポート設定 ```text ipsec transport 4 3 udp 1701 ``` トンネル4の作成完了。 ## 5. 匿名PPへのトンネル割り当て 追加したトンネルを実際に利用できるようにする。 既存設定: ```text pp select anonymous pp bind tunnel2 ``` 変更後: ```text pp select anonymous pp bind tunnel2-tunnel4 ``` これでトンネル2・3・4を匿名PPに割り当てる。 **重要:この操作の前に、追加トンネルの定義と事前共有キー設定が完了していることを確認する。VPN経由だけでRTX840を管理している場合は実行しない。** ## 6. 設定保存 管理者CLIで実行する。 ```text save ``` 成功時の表示例: ```text セーブ中... CONFIG0 終了 ``` これで現在の設定がCONFIG0に保存される。 ## 7. 動作確認 Windows PC、iPhone、その他の端末から順番にVPNに接続する。 3台ともVPNを切断しない状態で、RTX840のCLIから次を実行する。 ```text show status l2tp ``` 正常時の表示: ```text L2TPトンネル数: 3, L2TPセッション数: 3 ``` 各トンネルについて、以下を確認する。 ```text トンネルの状態: established セッションの状態: established ``` ### IPsecの確認 ```text show ipsec sa gateway ``` 接続中のクライアントに対応したIPsec SAが存在することを確認する。 ### 接続維持試験 1. 3台すべてがVPNに接続できる。 2. 各端末から現場LAN内の機器へアクセスできる。 3. VPN内IPアドレスが重複していない。 4. 1台を切断しても、残り2台のVPNが維持される。 5. 切断した端末が再接続できる。 これらを確認できれば作業完了とする。 ## 8. トラブルシューティング **症状:最初の1台しか接続できない** 確認項目: - `pp bind tunnel2-tunnel4` になっているか。 - トンネル3・4が有効化されているか。 - 各トンネルに異なるIPsec設定番号が割り当てられているか。 **症状:追加したトンネルだけ接続できない** 確認項目: - `ipsec ike pre-shared-key` が正しく設定されているか。 - 既存のVPNと事前共有キーが一致しているか。 - `ipsec transport 3 2 udp 1701` が設定されているか。 - `ipsec transport 4 3 udp 1701` が設定されているか。 - `show status l2tp` およびSYSLOGで接続状態を確認する。 **症状:VPN接続は成功するが、現場LANにアクセスできない** 確認項目: - VPNクライアントに割り当てられたIPアドレス - 接続先機器へのルーティング - VPNクライアント同士のアドレス重複 - LAN側フィルター ## 9. 設定変更時の注意事項 本構成は、実際にRTX840で3台同時接続に成功した設定を基に作成している。 既存のMAP-E、VLAN、NAT、ポート転送設定は変更しない。 RTX840を再起動する必要はなく、設定変更後に接続確認を行える。ただし、既存VPNセッションが途中で切断される可能性があるため、遠隔作業時には注意する。 また、管理画面やCONFIGにはVPN事前共有キーや認証情報が含まれるため、設定ファイルを第三者と共有する際は必ず伏せること。 --- ## 10. 実施結果 実施日:2026年10月21日 - tunnel 2:正常接続 - tunnel 3:正常接続 - tunnel 4:正常接続 - L2TPトンネル数:3 - L2TPセッション数:3 - 複数端末同時接続:成功 **結果:RTX840のL2TP/IPsec VPNを、1台接続構成から3台同時接続構成へ拡張完了。**